大判例

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仙台高等裁判所 昭和28年(う)599号 判決

しかし、窃盗罪は犯人が不法に領得する意思で事実上他人の支配内にある物を自已の支配内に移したとき既遂の域に達し、必ずしもこれを犯人の自由に処分できる安全な位置に置くことを必要としないものであり、固より犯人がその賍物を持つて追跡を免れ逃走することの可能であることを要するものではない。原判決挙示の証拠によれば、被告人は原判示夜窃盗の意思を以て、街道に面する原判示飲食店の店舗前の雪囲の中から、本件自転車を約一間半持出して暗い路上に行つたとき、偶々物隠から終始被告人の挙動を注視していた柴田りゑに泥棒と呼ばれたため自転車をそこに置いて逃走したことが明かであり、右の場所まで持出したことは即ち、仮令その自転車に錠がかけてあつたとしても、右店舗主人の自転車に対する支配を排して被告人の支配下に移したものと認むべきであるから、被告人の右所為を窃盗罪の既遂を以て問擬した原判決は正当である。

(後略)

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